社会的に意義のある企業グループの形成
文化財の保存・保護関連事業
髙松コンストラクショングループはM&Aを通じて大きく成長を遂げた数少ない日本の建設会社の一社と自負しています。 私たち髙松コンストラクショングループは、18社から成り立つ企業集団ですが、その中で、M&Aを通じてグループ入りした社会的意義のあるグループ企業があります。その中の一グループは、金剛組、中村社寺、島田組で、日本の文化財の保護・発展に非常にユニークな形で貢献している会社です。
世界最古の企業 株式会社金剛組
一般非公開の手斧始め式の様子
当社グループに2005年にグループ入りした金剛組は、世界最古の会社と言われています。金剛組は聖徳太子により建立された四天王寺をお守りする正大工として、金剛重光が578年に初代当主となって以来、1440年を超える社歴を誇る社寺建築の会社です。金剛組はその長い歴史を通じ、一貫して社寺建築に携わってきました。
社寺建築は、中国・朝鮮から伝来した技術を源にしてはいますが、その後の長い歴史の中で、日本が世界に誇ることができる伝統技術・文化として維持し発展してきました。その根幹に当たる部分を長年担ってきたのが社寺建築組織であり、金剛組は社寺建築組織の中でも際立った歴史の長さと豊かなノウハウを誇る組織です。金剛組が長年にわたって維持してきた社寺建築のノウハウは、徒弟制度にその根幹が存在します。神社仏閣の建築や修復に携わる宮大工は、その徒弟制度のもとに、兄弟子から弟弟子へと脈々と社寺建築のノウハウ「匠の技術」を受け継いでいきます。
金剛組にて長年にわたって引き継がれてきたノウハウは、組織や技術だけではありません。様々なユニークな行事や文化的イベントが、金剛組とともに歩んできました。その一つが「ちょんな始め」です。''ちょんな''とは手斧のことで、「ちょんな始め」は、大工職人のその年の仕事始めの儀式にあたります。ちょんな始めに出仕させていただくことは宮大工にとっては大変な名誉であり、金剛家代々の当主はいまもなお四天王寺の正大工職として、この年に一度の晴れ舞台を務めさせていただいております。
一方、これらの日本文化への貢献やユニークな組織を持つ金剛組は、その長い歴史の中で、戦争や天災、経営危機などにより、幾度も断絶の危機に見舞われ、それを乗り越えてまいりました。その金剛組最大の断絶の危機の一つは2005年でした。従来の本業とは異なる鉄筋コンクリート建築に踏み込んだ結果、経営危機に陥り、「もはや、自力再建は不可能」と弁護士からも告げられる絶望的な状況の中、金剛組の経営危機を知った当時の髙松建設の髙松孝育会長は、「金剛組を潰したら、大阪の恥や!」と、すぐに動き出ました。その一方、「上場企業として株主に納得してもらえない金を出すことはできない。金剛組はこれからも存続に足る会社なのか否か。すぐに確認してほしい。」との冷静な視点も維持しつつ、経営支援を決定し、最終的に金剛組が当社グループ入りをするに至りました。
林野庁が進める「高付加価値木材輸出促進緊急対策事業」への協力 金剛組
2022年11月より、台湾人を中心に 180 万人以上のファンを持つ YouTuber の Ryuuu TV さんによる「神一樣的工匠!不用任何釘子能建築四天王寺?采訪世界最古老的企業金剛組」が配信されました。この番組は林野庁が進める「高付加価値木材輸出促進緊急対策事業」の一環として、台湾への日本産木材、及び日本産木材を使った製品・建築の魅力伝播、買意欲の向上を目的に発信されたものです。
撮影は2022年7月~9月に行われ、夫婦YouTuberであるRyuuu TVさんが、当社関西加工センターを見学し、日本の木の魅力や伝統・技術を学ばれ、木と共に生きてきた日本人の精神や長年培われた技をご紹介させていただきました。
創業天禄元年(西暦970年) 株式会社中村社寺
永保寺 庫裡
当社グループに2007年にグループ入りした中村社寺も、1,000年を超える歴史を誇る社寺建築の会社で、世界で8番目に古い会社と言われています。中村社寺は、970年に社寺造営のため、初代当主が京都より招かれ創業して以来、社寺建築のエキスパート集団として日本伝統建築の「技」と「心」の修養と伝承に務めてまいりました。金剛組同様、中村社寺も長い歴史だけでなく、愛知県の社寺建築においてはトップシェアを誇る優れた実績と技術を持つ社寺建築会社として、当社グループの一角を担っております。
埋蔵文化財発掘大手 株式会社島田組
埋蔵文化財の発掘調査
当社グループに2012年にグループ入りした島田組は、埋蔵文化財の発掘調査、分析、保存移築および史跡整備を生業とする会社で、この分野では日本の民間企業の中ではトップシェアを誇ります。古代生活していた人々の、活動や文化を知る手がかりとなる埋蔵文化財は、「文化財保護法」によって保存や調査方法等が定められており、 たとえ自分の土地であったとしても発掘を勝手に出来ないため、島田組のような専門の企業の出番となります。
島田組では定期的に「現地説明会」を開催し、 発掘された遺跡は、埋蔵文化財の重要性や地域の文化を知るための機会として情報公開しております。 説明会では見つかった遺物も展示し、多くの歴史考古学ファンや地域住民の皆様が集まり、調査担当者の解説に熱心に耳を傾ける場となっております。